消防・救助

火災現場の種類と現場活動について元消防士が紹介する

火災現場の種類と消防士の活動内容について

火災現場に出動する。

今回は、「火災現場」について「現場の特性」と「消防士の活動」についてお話しします。

火災が発生

火災が発生すると、通信指令課から消防本部に指令が流れ、現場に消防士が駆けつけます。

消防士といっても現場では、その隊によって様々な役割に分かれることになります。

  1. 消防隊:火災の消火・鎮圧を主に行う。
  2. 救助隊:逃げ遅れた人の人命救助を行う。
  3. 救急隊:負傷者の応急手当と病院への搬送。
  4. 指揮調査隊:全体の指揮統制や住民への広報を行う。

主にこの4種類に分かれます。

火災現場では消火と同時に、救助隊により逃げ遅れた人がいないかを詮索して、救助活動を行わねばなりません。

負傷者を発見した場合は直ちに救急隊に引き継ぎ、現場で適切な処置を行いながら、すぐに病院へ連絡搬送する流れになります。

また、火災が発生すると、災害の規模に応じてたくさんの消防隊が集まることになりますので、それらに適切な指示を与えるためにも、現場でどういう活動をすべきか、一番初めについた隊は迅速に、「消火活動の有無」「人命救助の有無」またそれらをどう後から来る隊に伝えるのか情報を収集しながら活動しなければならないのです。

実に様々な役割を果たしながら、火災現場で活動をすることになり、それぞれ、自分の役目を全うしながらも、現場に応じて、負傷者の手当てを優先する場合は、消防隊や救助隊であって、救急隊と一緒に応急手当をしたり、場合によっては別の隊と一緒になって活動します。

消防隊の役割

火災現場では、消防隊はまず現場の先着隊と2番目に到着する消防車で連携しながら消火活動を行います。

消防車には、約1.5tの水を積んである車両があり、それは先着隊として、その水を使用しながら放水活動にあたります。

しかし1.5tの水は、ものの数分で放水し使いきってしまいます。

そのため、後着隊(だいたいは同じ消防本部から同時出動している)は同時に、「水利部署」といって、消火栓・マンホールのある位置に車両を止め、消火活動に必要な「水利」を確保します。

その確保した水を、先着で現場に最も近い消防車に、ホースで車両同士を連結させて、水を送ります。

そうすることで、先着隊は、車両そのものに積んであった水を使い切る前に、水を確保することができるわけです。

ただし、ここは本当に迅速かつ適切な活動が必要な場面で、先着隊の水が確実に尽きることなく、連携してすぐに水を送れるように活動しなければなりません。

また火災現場に応じては、消火栓がない「水利部署」ができない現場やあっても異常に現場から遠い場合もあります。(高速道路上など)

その際は大量に水を積載した水槽車や、時間がかかっても遠くからなんとか水利を確保しなければならず、活動が困難を極める場面もあります。

と同じ現場はありませんので、本当に活動はその場その場で臨機応変に考えて動かなければならないのです。

よく「考えてから動く人」「考えずに動く人」「考えても動けない人」など性格に応じてこんな呼ばれ方をしますが、

消防の場合はまさに「動きながら考えることが求められる」のです。

では次にどんな種類の火災現場があるのか解説していきます。

【火災の種類①】住宅火災

この住宅火災が火災現場で最も多くなります。

中でもたくさんの人が住む住宅街で火災が一番多いです。

この時、消防活動の基本として、やはり、「消火活動」と「人命救助」を最優先に考えながら火災戦術を組み立てていきます。

火災現場では、人命優先で、「検索活動」を行います。

人命検索は、たとえ無人の家でも可能性がある限り全て実施します。

マンションなど中高層建物火災の場合は、消防隊・救助隊・救急隊に加えて梯子車(救助隊)も出動要請します。

【火災の種類②】危険物火災

危険物火災は、石油コンビナートや化学工場などの火災で状況によってはモンスタークラスの被害になりえます。

また、燃焼物によっては水と化学反応を起こし、さらに火勢を悪化させる可能性があるため、活動も慎重にすべきです。

そこで活躍するのが「化学車」になりますが、通常の水では消せないような危険物火災に対して、必要な消火薬剤を使用して消火活動にあたります。

そのため、危険物への知識とそれに応じた行動が要求されます。